【古文書を読む】「甲州地震」 安政東海地震(南海トラフ巨大地震)の史料

 


「甲州地震」と題する史料で、甲州(山梨県)の地震被害を報告している。

紙質から江戸時代ごろの史料と思われるが、いつの地震を記したものか、推測してみたい。

地震が発生した日と時間について、「当月四日辰中刻」と記されている。

江戸時代の甲州で、「四日の辰の中刻(820)」ごろに起こった地震としては、嘉永7(安政元年、1854)114(新暦では18541223)の「安政東海地震」が考えられる。

これは「南海トラフ巨大地震」のひとつとされ、津波や家屋の倒壊・火災によって、数千人が死亡したと推測されている。

地震の規模はマグニチュード8クラスと推測されている。

また、この地震の翌日には、南海地方(四国地方)で同規模の「安政南海地震」が発生した。

この史料は甲州の地震を伝えたものであるため、津波の被害については言及がないが、甲州では特に家屋の倒壊被害が大きかったことが記されている。

この時の「南海トラフ巨大地震」からすでに約170年が経過しており、現代の日本では次の「南海トラフ巨大地震」への対策が叫ばれている。

 

【翻刻】

   甲州地震

一、当月四日辰中刻、大地震ニ付、八日町通

壱丁目、表通、左表筋之弐丁目中程迄、

魚町三丁目中程、同町弐丁目西かわ、

大半壊、山田町壱丁目少し、柳町壱丁目

中程大半壊、同町弐、三、四丁目共壊家

少し、連尺町壱丁目中程、大半壊れ、

片保町ゟ西之方、無記、金子町ゟ東方

無記、八日町ゟ南連尺町迄、大地震□、

魚町五丁目、桶屋町抔も余程壊し

相成、此段御しらせ申候、


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